喜多川歌麿「吉原の花」寛政3~4年(1791~92)頃 ワズワース・アセーニアム美術館蔵 (アメリカ・コネチカット州ハートフォード) |
―特別展―
歌麿大作「深川の雪」と「吉原の花」
―138年ぶりの夢の再会―
―138年ぶりの夢の再会―
箱根・岡田美術館にて、
特別展『歌麿大作「深川の雪」と「吉原の花」
―138年ぶりの夢の再会―』が、開催されている。
本展ではタイトル通り、歌麿大作の夢の再会が見どころとなる。
「深川の雪」(下)は、「品川の月」(後出)「吉原の花」(上)
とともに
「雪月花」三部作として、喜多川歌麿によって描かれた
肉筆画(筆で描いた絵)の大作と評されているものだ。
いずれも栃木の豪商から注文を受け
栃木で描かれたと考えられている。
フランスの著名な作家で美術評論家の
エドモン・ド・ゴンクール著
「OUTAMARO」※1によれば、
歌麿はある風刺的な版画を出した後に、
投獄される危険を感じて
地方(栃木)の友人宅に身を潜めた。
この巨大な掛け軸はそのもてなしの
返礼として描いたものだという。
※1 Edmond de Goncourt “OUTAMARO -le peintre des maisons vertes-” 1891
喜多川歌麿「深川の雪」(部分)享和2~文化3年(1802~06)頃 岡田美術館蔵
|
この三部作が揃って展示された唯一の記録は、
明治12年(1879)11月23日、
栃木の定願寺で開かれた展観でのこと。
その後、三部作は明治時代に美術商の手によって
ジャポニスムの全盛期のパリへと渡り、
「深川の雪」だけは戦前に日本に戻って、
昭和23年(1948)と27年(1952)の
2度にわたり公開展示されてからは、
長らく行方がわからなくなっていた。
それが平成24年(2012)に再発見されて
岡田美術館の所蔵になったそうだ。
岡田美術館蔵の「深川の雪」と、
米国から迎えた
ワズワース・アセーニアム美術館蔵の「吉原の花」、
さらにフリーア美術館蔵の「品川の月」(下)は、
原寸大の高精細複製画※2を制作して、
「雪月花」三部作を同時に展示している。
※2 フリーアコレクションは創設者の遺言により貸出しが禁止されているため
喜多川歌麿「品川の月」 現本: フーリア美術館蔵(アメリカ・ワシントンD.C.)/ 原寸大の高精細複画を同時展示 Kitagawa Utamaro “Moon at Shinagawa” Original : Freer Gallery of Art |
*●*
現存する歌麿の肉筆画は約40点と非常に少ないが、
「深川の雪」以外にも、
岡田美術館蔵の歌麿の名品2点
「三美人図」「芸妓図」を、
4階展示室にて特別に公開している。
欧米諸国の人々をも魅了してきた歌麿美人を
この機会に堪能してみてはいかがだろうか。
喜多川歌麿「三美人図」(部分) 寛政年間(1789~1801) 岡田美術館蔵 |
喜多川歌麿「芸妓図」(部分) 享和2年(1802)頃 岡田美術館蔵 |
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―特別展―
歌麿大作「深川の雪」と「吉原の花」
―138年ぶりの夢の再会―
岡田美術館
神奈川県足柄下郡
箱根町小涌谷 493-1
会期
2017年7月28日(金)~10月29日(日)
会期中無休
開館時間 9:00~17:00
(入館は 16:30 まで)
お問合せ
TEL: 0460-87-3931(代表)
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