レストラン「ル ゴロワ」のレシピから
季節のごはんと暮らし方
今回は食欲も読書欲もダブルでそそられる本のご紹介です。北海道の富良野市にある人気レストラン「ル・ゴロワ フラノ」の大塚ご夫妻から届いた新刊です。
「ル ゴロワ」は東京・表参道に1997年にオープンしたフレンチレストラン。当時から多くの常連客に愛され、予約がなかなか取れない人気店でした。
【画像上】『レストラン「ル ゴロワ」のレシピから季節のごはんと暮らし方』表紙
ル ゴロワサラダ 『レストラン「ル ゴロワ」のレシピから季節のごはんと暮らし方』より |
本書は「ル ゴロワ」のシェフの大塚健一さんとマダムの敬子さんご夫妻が東京から富良野で新たにお店を始めるまでのストーリーと季節のレシピや日々の暮らしが美しい写真と共に綴られています。
「ル ゴロワ」が東京・表参道にあった頃、ちょうど私は夫とともにフランス・パリから東京に暮らしの拠点を移したところで、幸運なことに「ル ゴロワ」から徒歩数分のところに住むことになって、通うようになりました。
本書で大塚さんご夫妻が東京時代から夢見ていらしたことを具現化するための奮闘記、そして富良野でのお二人の暮らしぶりに触れることができ。さらには「ル ゴロワ」の名物サラダ、スープ、そば粉パン…、そしてグレープフルーツのプリン、と懐かしいメニューとの再会もあって、心から嬉しくなりました。
東京時代にはカウンター席で、「ル ゴロワ」の熱心な常連客であり、当時大活躍されていた俳優のご夫妻と同席になり、愉快なひと時を共有させていただいたこともありました。お店が外苑前に移転される時には、常連客のお一人だった銅版画家の山本容子さんが、直接店内の壁に描かれた絵の数々も壁ごと切り取って一緒に移そうとされていたことも…。本書に織り込まれた山本さんのほんわかやさしい作品が魅力を添えます。
いろいろな記憶が蘇り、富良野のお店にすぐにでもお二人を訪ねてみたくなってしまいました。
グレープフルーツのプリン 『レストラン「ル ゴロワ」のレシピから季節のごはんと暮らし方』より |
大塚さんご夫妻の情熱と愛情あふれる暮らしとお料理に触れられるとてもステキな本です。
text © Mika Ogura 2021
【プロフィール】
小椋三嘉(おぐら・みか)
エッセイスト、食文化研究家。
十数年のパリ暮らしを経て帰国。2008年にはフランス観光開発機構・ パリ観光会議局の名誉ある「プレス功労賞」を受賞。フランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」の会員。著書は『高級ショコラのすべて』、『チョコレートのソムリエになる』、『ショコラが大好き!』、『アラン・デュカス進化するシェフの饗宴』、『パリを歩いて―ミカのパリ案内―』など多数。
【BOOKデータ】
レストラン「ル ゴロワ」のレシピから
季節のごはんと暮らし方
執筆 北村 美香
出版社 朝日新聞出版
価格 ¥1,650 ( 税込 )
価格 ¥1,650 ( 税込 )