Beatle and Golden Baumkuchen
ビートルくんと きんいろの バウム
絵本『ビートルくんと きんいろの バウム』をいただきました。兵庫県三田市にある〈パティシエ エス コヤマ〉のオーナーシェフ、小山進さんの『失われたアルアコの秘宝』に続く、第2作目となる絵本です。
昨年末に出版されたこの絵本は子供から大人まで国籍を超えて楽しめる心温まるストーリーで、イラストもとっても可愛いです。
【画像上】絵本『ビートルくんと きんいろの バウム』より
おかしの かみさま(左)と ビートルくん(右)
絵本『ビートルくんと きんいろの バウム』より
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物語は、おかしのもりにいる、おかしのかみさまが、もりにみのる豊かな食材で、おかしをつくっている美味しそうなシーン(画像TOP)から始まります。
物語に登場するのは、〈パティシエ エスコヤマ〉の庭やテラスなど、敷地内に置かれている銅製の妖精や昆虫たちです。小山さんはお店をオープンする前から「昆虫がいっぱい集まるお 庭のあるお菓子屋さん」を作るのが夢でした。
絵本のタイトルにもなっているビートルくんもいます。絵本の中のビートルくんは、とっても困ったちゃんキャラクターで登場するのですが、黒魔女が他の人にかけるつもりだった魔法が、天罰がくだってしまったのか、ビートルくんにかかってしまい、カブトムシのような薪ストーブ姿になってしまいました。まぁ、大変…。
お店の庭先に置かれたカブトムシのような薪ストーブ |
このカブトムシのような薪ストーブ(上)も〈パティシエ エスコヤマ〉の庭先に置かれていて、存在感を放っています。小山さんは庭の木々がまだ小さかった頃に、寒い冬に店を訪れるお客さまが冷たい風にさらされてしまうことがすごく嫌だったそうで、少しでも暖が取れて、せめて心は温かくいられるようにという思いを込めて「ちょこっとおっかなくて、でも可愛い」というイメージで作ったのだそうです。
この絵本は物語としてはもちろんのこと、〈パティシエ エスコヤマ〉を訪れたことのある人やこれから訪れる人にとって、登場するキャラクターに出逢えるというプラスαの愉しみとなることでしょう。
ところで薪ストーブ姿になってしまったビートルくんは、その後どうなったのでしょうか。続きはこの絵本で確かめてみてくださいね。
text © Mika Ogura 2020
【プロフィール】
小椋三嘉(おぐら・みか)
エッセイスト、食文化研究家。
十数年のパリ暮らしを経て帰国。2008年にはフランス観光開発機構・ パリ観光会議局の名誉ある「プレス功労賞」を受賞。フランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」の会員。著書は『高級ショコラのすべて』、『チョコレートのソムリエになる』、『ショコラが大好き!』、『アラン・デュカス進化するシェフの饗宴』、『パリを歩いて―ミカのパリ案内―』など多数。
『ビートルくんと きんいろの バウム』(左) と『失われたアルアコの秘宝』(右) |