2023/02/14

小椋みかのテイスティングノート
〈ブルガリ イル・チョコラート〉のヴァレンタイン限定コレクション

BVLGARI Il Cioccolato, San Valentino 2023



ブルガリ イル・チョコラートのヴァレンタイン限定コレクション「サン・ヴァレンティーノ 2023」について、今回もオンラインにてご説明いただいたきました。

数年前から環境に配慮したサスティナブルなチョコレート Chocolate Gems for Sustainability” を発表してきたブランドですが、今年はさらにサスティナブル社会を実現するための17の目標(SDGs)をふまえて新作フレーバーを構成したそうです。

また、恒例となった気品あふれる美しいスリーブは、今年はブルガリの数あるアイコニックなジュエリーモチーフのひとつ「ディーヴァ」からインスパイアされたもの。やさしい手ざわりの凹凸がかもし出す、ほのかな陰影と温かみを保ちつつ、多彩な色合いになりました。

2023の新作チョコレートを作るにあたって、大切にされたことをブルガリ イル・チョコラートのメートルショコラティエ1 齋藤香南子さんうかがってみました。

「新しいテーマ(SDGs)にそって、食材探しの過程で生産者の方々が取り組む環境問題や、人に寄り添う気持ちなどを私なりに解釈し、レシピに落とし込みました。また、それらの食材の味わいを最大限に感じて頂けるよう、チョコレート・ジェムズ※2 も例年になくシンプルな仕上がりにしています。ひと粒ひと粒を通してその背景にあるストーリーまで感じて頂けたら幸いです」

それでは5種類の新作をご紹介していきましょう。


【画像】
バレンタイン限定コレクション『サン・ヴァレンティーノ 2023』4個入り

【註釈】
1 ショコラティエ
ブルガリではチョコレート職人のことを性別にかかわらず役職名として「ショコラティエ」と呼んでいます
※2 チョコレート・ジェムズ
ブルガリでは粒チョコレートのことを宝石になぞらえて「ジェムズ」と呼んでいます


*●*



今回も齋藤香南子さん(画像下) からご説明をうかがいながらテイスティングしていきます。いつものテイスティングノートは各説明後に続く【ミカのひとこと】をご参照ください。

✤ バジル ―Living with nature 自然と共に生きる―
数あるバジルの種類から今回選んだのは石川県で農薬肥料を使わずに育てられたホーリーバジル。乾燥させてパウダー状にしたもので試作をしたところ、バジルの中にミントの香りがあり、これまで使っていたフレッシュなスイートバジルよりよく仕上がったので、シンプルなガナッシュ仕立てにすることで風味を活かしました

【ミカのひとこと】チョコレートにあわせる素材は必ずしもフレッシュな状態がいいとは限らないことを改めて認識しました。バジル風味がさわやか。シンプルなだけに実力を感じるひと粒です


✤ アーモンドプラリネ ―Enrich minds より豊かに、幸せに―
日本ではフェアトレードのチョコレートがまだまだ少ないという印象がありますが、今回ブルガリ イル・チョコラートとして国際フェアトレード認証を取得できたことを嬉しく思っています。フェアトレードのガーナ産オーガニックカカオ豆を使ったクーベルチュールにインド産砂糖とオレンジゼストを入れた自家製アーモンドプラリネです。今回使ったクーベルチュールは、癖がなくとても使いやすいものでした。アーモンドとの相性も良かったです

【ミカのひとこと】クーベルチュールはカカオ分70%とのことですが、ハイカカオを感じさせない包容力のあるやさしい味わいです。香南子さんがお得意なプラリネだけに、オレンジが香るステキな仕上がりでした


✤ ヘーゼルナッツプラリネ ―To the future 未来へ向かって―
“ビーガン”というテーマで、地球環境を守ることの大切さ、そして異なる食文化を持つ人々と同じ食体験と時間を共有することなどを表現してみました。今回から石臼製のカカオ豆挽きでナッツを挽いているので、ナッツから油分が出てしまうということがなくなりました。ヘーゼルナッツの自家製プラリネペーストに、3種のオーガニックスパイス(カルダモン、シナモン、タイム)と、乳製品の代わりにアーモンドを使ったビーガンミルクチョコレートを合わせました

【ミカのひとこと】「アーモンドプラリネ」でも感じたことですが、ナッツを石臼でよりなめらかにすることで、まわりのキャラメリゼされた食感は逆にシャリシャリ感が増すことを体感できました。スパイスの風味がほどよく口に広がり、“ビーガン” だけでなく、多くの人を虜にしそうな味わいです


✤ グリーンレモン―Nothing is ever wasted すべて大事―
自然農法でつくられたグリーンレモンの皮、果実、そして種に至るまでを丸ごと使っています。ジャスミン茶葉を漬け込んだクリームで香りに深みを加えたミルクチョコレートガナッシュをビターチョコレートでコーティングしました

【ミカのひとこと】皮や果実だけでなく種まで使っていることに驚きました。風味の奥深いところにほんのりと漂う苦味が、フレッシュなグリーンレモンの姿を脳裏に映し出します。とても香りがよくさわやかで魅力的な味わいです


✤ カカオ・バリネーゼ Cacao Balinese 《季節限定 ブルガリ・ブルガリ》
ブルガリ リゾート バリのある、インドネシア バリ島産シングルオリジンのカカオ豆を使って、今回ブルガリ イル・チョコラートのオリジナルクーベルチュールを作りました。カカオ本来の風味を大切にするために、カカオ豆のフルーティーな風味を引き立たせるようなガナッシュにしました。生産者の想い、愛情、生産技術全てを、消費者の方々にも感じ取っていただけるように、また素材本来の味わいを感じられるようにシンプルなチョコレートにしました

【ミカのひとこと】フルーティでとても気品のある味わいのチョコレート・ジェムズです。ブルガリ イル・チョコラートのオリジナルクーベルチュールのカカオ分56%とカカオ分70%もテイスティングしましたが、高級ブランドにふさわしい非常に質の高い仕上がりです。インドネシアのカカオのレベルの高さに驚いてしまいました。ぜひ定番として作り続けてほしいです



ブルガリ イル・チョコラートのメートルショコラティエ 齋藤香南子さん
インドネシア バリ島にあるカカオ農園にて




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ところで「ディーヴァ」のインスピレーションの源となったのは、ローマにある古代遺跡「カラカラ浴場」の扇形のモザイクだそうです。ブルガリの広報画像を拝見すると、修復の最中にあっても、当時はさぞかし優美なモザイクであったであろうことがうかがい知れます。また今回のボックスのスリーブは、「ディーヴァ」からのインスパイアに加え、サスティナブル社会を実現するための17の目標(SDGs)のテーマ色のすべてを包み込みたいという気持ちの表われでもあるのだとか。

今回も齋藤香南子さん、そしてブルガリ東京・大阪レストランの広報チームのみなさまからオンライによる新作のテイスティング説明会をしていただきました。

「素材本来の味わいを感じられるシンプルなチョコレート」というのは、技術的にも極めてハードルが高いことだろうと想像しますが、味わってみるとすみずみまで具現化されていることが感じられて、ひと粒ごとに心に響くものがありました。

興味をそそられた方は、早めにブルガリ イル・チョコラートに立ち寄ってみてはいかがでしょう。



text © Mika Ogura 2023


【プロフィール】

小椋三嘉(おぐら・みか)
エッセイスト、食文化研究家。
十数年のパリ暮らしを経て帰国。2008年にはフランス観光開発機構・ パリ観光会議局の名誉ある「プレス功労賞」を受賞。フランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」の会員。著書は『高級ショコラのすべて』、『チョコレートのソムリエになる』、『ショコラが大好き!』、『アラン・デュカス進化するシェフの饗宴』、『パリを歩いて―ミカのパリ案内―』など多数。


*●*


San Valentino 2023
【サン・ヴァレンティーノ 2023】 
4個入りと10個入りの2種類あり、
どちらも特別ボックス入り

4種類のヴァレンタイン限定のフレーバー
(グリーンレモン、ヘーゼルナッツプラリネ、
アーモンドプラリネ、バジル)の4個入り
価格:5,200円(税込)

5種類のヴァレンタイン限定のフレーバー
(グリーンレモン、ヘーゼルナッツプラリネ、カカオ・バリネーゼ、
アーモンドプラリネ、バジル)× 各2個の10個入り
価格:14,000円(税込)
   

お問合せ先
ブルガリ イル・チョコラート
TEL 03ー6362ー0510


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https://chocolatclub-news.blogspot.com/2019/12/ogura-mika-tasting-index.html



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