2022/01/25

小椋みかのテイスティングノート
〈ブルガリ イル・チョコラート〉のヴァレンタイン限定コレクション


BVLGARI Il Cioccolato, San Valentino 2022


ブルガリ イル・チョコラートのヴァレンタイン限定コレクション『サン・ヴァレンティーノ 2022』は、ボックスからいつもにましてとても華やかです。

今年はブルガリの本拠地であるローマに「ブルガリ ホテル ローマ」が誕生する記念すべき年になることにちなみ、古代ローマの文化や食にインスパイアされたコレクションとなっています。

この限定コレクションについてオンラインにてご説明いただいたので、ご紹介しましょう。

先ずは気品あふれる美しいスリーブは、やさしい手ざわりの凹凸がほのかな陰影と温かみをかもしだしています。これは古代ローマの象徴のひとつであるモザイクからインスピレーション得たそうで、イタリア、フィレンツェにある老舗の紙工房イル・パピロ(IL PAPIRO)の職人が、1枚1枚木版による型押しで丁寧に作り出したものなのだとか。このローマの石畳を連想させるようなモザイクのデザインは、古代ローマ都市のポンペイでも見ることができるそうです。

さらに5種類の限定チョコレート・ジェムズは、古代ローマの食文化の中心となる5つの食材をヒントに作られ、古代ローマ時代の貴族の晩餐になぞらえ、前菜→メイン→デザートと味わうという趣向になっています。


【画像】
ヴァレンタイン限定コレクション『サン・ヴァレンティーノ 2022』の5種類の新作チョコレート。左から、モスト、オリーブオイル&塩、スペルト小麦、サフラン・ジャンドゥーヤ、デーツ

【註釈】
1 チョコレート・ジェムズ
ブルガリでは粒チョコレートのことを宝石になぞらえて「ジェムズ」と呼んでいます



*●*



今回は、ブルガリ イル・チョコラートのメートルショコラティエ2 齋藤香南子さん(画像上) からご説明をうかがいながらテイスティングしていきます。いつものテイスティングノートは各説明後に続く【ミカのひとこと】をご参照ください。

新作は古代ローマの食文化の中心となる5つの食材をヒントに作ったそうです。先ずは前菜にみたてたモストから。

Mosto モストは、華やかな香りの有機モスト(ブドウジュース)に、凝縮した自家製モストコット(シナモン、クローブ、ホワイトペッパーなどのオリジナルスパイスを入れて煮詰めたもの)にヴィンコット・イチジク(イチジク果汁入りのブドウ酢)とセミドライイチジクを加え酸味のあるフルーティーな仕上がりにしました。古代ローマの食卓に欠かせなかったワインですが、当時は水などで薄めて飲まれることが多かったようです。とりわけ食前酒として人気があったムルスムと呼ばれる飲物はワインをはちみつで割ったもので、モストはその原料としても使われました。前菜と共されることも多かったことから、前菜をイメージして作ったものです。【ミカのひとこと】フルーティーなブドウの香りと共に、口の中で弾けるようなイチジクのつぶつぶ感が印象的でした。

Olive Oil & Salt オリーブオイル&塩は、イタリア、ラツィオ州のオリーブオイルとイタリア、シチリア島産の岩塩を使用して、ガナッシュもコーティングもあえてミルクチョコレート仕立てにしてみました。【ミカのひとこと】濃厚なミルクの味わいが連れてやってくるオリーブの香りが心地良かったです。

Farro スペルト小麦は、イタリア産スペルト小麦(ファッロ)とイタリア、ピエモンテ産ヘーゼルナッツを使用したプラリネをミルクチョコレートでコーティングしたものです。プラリネへの思いが強いこともあり、かなり試行錯誤を繰り返しました。とりわけ食感を表現するのに難儀しましたが、パフ状のスペルト小麦とフイヤンティーヌ(薄いクレープ状に焼いた生地)を使うことで理想の食感にできました。【ミカのひとこと】口に入れる前からすでにプラリネの香ばしい風味が美味しさをアピールしていますが、口に入れた途端にヘーゼルナッツに加えてスペルト小麦の楽しい食感も実感でき魅力も倍増しました。

Saffron Gianduja サフラン・ジャンドゥーヤは、メイン料理のイメージなので、イタリア料理によく登場するサフランを素材として考えました。イタリア産サフランと生アーモンドペーストを使って自家製ジャンドゥーヤを作り、ミルクチョコレートでコーティングしたもので、ご好評をいただいています。【ミカのひとこと】生アーモンドの香る濃厚なジャンドゥーヤにサフランの味わいが加わり、エキゾチックな風味をかもし出していて新鮮な味わいです。

Date デーツは、デザートにみたてたもので、やさしい味わいに仕上げようと思いました。そこでデーツとピーカンナッツをミルクチョコレートガナッシュにしてビターチョコレートでコーティングしました。【ミカのひとこと】極めて個人的な感想になりますが、一口含んで感じられたデーツとピーカンナッツと、それに続くビターチョコレートの風味が、何故か大人味に仕上げたティラミスを連想させ、テイスティングのフィナーレを面白く迎えることができました。

齋藤香南子さん考案の味わい方は、まず始めに、前菜にみたてたモスト → 2つめの前菜 オリーブオイル&塩 → 3つめの前菜 スペルト小麦 → そしてメイン料理のサフラン・ジャンドゥーヤ → 最後はデザートをイメージしたデーツで締めるというもの。この順序でコース料理を味わうように進めると、このボックスの意図するエクスペリエンスが堪能できることでしょう。お試しあれ。

2 ブルガリではチョコレート職人のことを性別にかかわらず役職名として「ショコラティエ」と呼んでいます



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昨年はチョコレートでイタリアを旅しているような気分になり、今年はコース料理仕立てのチョコレートを通して、古代ローマの文化と食を味わい。進化を遂げ続けるコレクションにこれからも期待できそうです。

挑戦してみたいテーマについても訊いてみたところ、ドリンクをチョコレート仕立てにしてみたいとのことでした。昨年好評だった“Chocolate Gems for Sustainability”は今年も継続するそうですよ。楽しみですね。

今回は齋藤香南子さん、そしてブルガリ東京・大阪レストランの広報チームのみなさまからオンライによる新作のテイスティング説明会をしていただきました。

古代ローマへと思いを馳せるユニークな新作でした。興味をそそられた方は、早めにブルガリ イル・チョコラートに立ち寄ってみてはいかがでしょう。



text © Mika Ogura 2022


【プロフィール】

小椋三嘉(おぐら・みか)
エッセイスト、食文化研究家。
十数年のパリ暮らしを経て帰国。2008年にはフランス観光開発機構・ パリ観光会議局の名誉ある「プレス功労賞」を受賞。フランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」の会員。著書は『高級ショコラのすべて』、『チョコレートのソムリエになる』、『ショコラが大好き!』、『アラン・デュカス進化するシェフの饗宴』、『パリを歩いて―ミカのパリ案内―』など多数。


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San Valentino 2022
【サン・ヴァレンティーノ 2022】 
4個入りと10個入りの2種類あり、
どちらも特別ボックス入り

4種類のヴァレンタイン限定のフレーバー
(モスト、オリーブオイル&塩、スペルト小麦、
サフラン・ジャンドゥーヤ)の4個入り
価格:4,920円(税込)

5種類のヴァレンタイン限定のフレーバー
(モスト、オリーブオイル&塩、スペルト小麦、
サフラン・ジャンドゥーヤ、デーツ)× 各2個の10個入り
価格:11,800円(税込)
   


お問合せ先
ブルガリ イル・チョコラート
TEL 03ー6362ー0510


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