2023/02/12

小椋みかのテイスティングノート
〈フレデリック・カッセル〉 の新作チョコレート


Frédéric Cassel Fontainebleau 


フランスのブランド〈フレデリック・カッセル〉 の2023年の新作は、油絵具で描かれたようなパッケージとチョコラたちが色彩豊かで華やかです。

新作「コフレ・バルビゾン」は、彩りあふれる十人十色の個性をパレットに見立て「それぞれが持つ色(個性)で自由に色鮮やかな人生を描こう」そんな想いを込めつくりあげたものだといいます。

それぞれの色から記憶をさかのぼり、呼び起こされた深い味わいをショコラに閉じ込めたのだそうです。


【画像】
6種の新作ショコラのアソート「コフレ・バルビゾン」



*●*

Coffret Barbizon

画像左から右へ
✤ Rouge 赤
まったりと濃厚なヘーゼルナッツのプラリネは キャラメリゼされたナッツの適度なシャリシャリ感があっておいしい。

✤ Jaune 黄
レモンのアーモンドマスパンとレモンガナッシュの二層仕立てで、レモンの爽やかさのあとに続くアーモンドの風味と粒々食感が楽しい。

✤ Orange 橙
モーリシャス産バニラが香り、そしてなめらかで濃厚なガナッシュが口に広がりました。

✤ Vert 緑
何世紀にもわたって伝えられてきた秘伝のレシピで作られる薬草のリキュール「シャルトリューズ」を使ったガナッシュショコラ。フランスでは万能薬的な扱いもされていて、よく友人が「お腹にいいのよ」と言いながらカフェでオーダーしていたことを想い出しました。フランス暮らしで口にする機会が多いリキュールだけに、グリーンハーブの香りとともにさまざまな記憶を蘇らせてくれました。ショコラとの相性も抜群で味わい深かったです。

✤ Violette 紫
2層のガナッシュ仕立てになっていて、洋酒の香る風味のよいマロンとそのあとに続くカシスの味わいがとても大人っぽくステキな味わいです。

✤ Multicolore 虹
フランスに昔からある「アルルカン(道化師)」という名の甘酸っぱいキャンディー(楕円形をした白地でカラフルな線が入っている)を閉じ込めたものなので、なめらかなガナッシュは「アルルカン」風味になっています。幼少期をフランスで過ごした人には懐かしいフレーバーですが、このキャンディーを知らずとも特有の甘酸っぱさが楽しめるショコラです。





*●*


「コフレ・バルビゾン」は、フランスへの憧憬を誘うには充分なほどフランス的なフレーバーが練り込まれていて、すぐにでも旅立ちたくなってしまいました。それも〈フレデリック・カッセル〉の本店のあるフランス・フォンテーヌブローへ。

フォンテーヌブローのお城や森の近くにあるバルビゾン村は、19世紀に自然主義の画家たちが多く暮らし、目に映るあるがままの光景を描いていたことで知られています。

「コフレ・バルビゾン」は、ショコラをとおして、そんな時代の表現の自由さを感じさせてくれるような素敵なコフレでした。



text © Mika Ogura 2023


【プロフィール】

小椋三嘉(おぐら・みか)
エッセイスト、食文化研究家。
十数年のパリ暮らしを経て帰国。2008年にはフランス観光開発機構・ パリ観光会議局の名誉ある「プレス功労賞」を受賞。フランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」の会員。著書は『高級ショコラのすべて』、『チョコレートのソムリエになる』、『ショコラが大好き!』、『アラン・デュカス進化するシェフの饗宴』、『パリを歩いて―ミカのパリ案内―』など多数。


*●*


FRÉDÉRIC CASSEL
【コフレ・バルビゾン(画像上) 
6粒入り/ 箱 価格:3,456円(税込)



フレデリック・カッセル関連記事


https://chocolatclub-news.blogspot.com/2019/12/ogura-mika-tasting-index.html



【関連記事】

小椋みかのテイスティングノート
〈フレデリック・カッセル〉 の
ジャルダン・ボタニク

小椋みかのテイスティングノート
〈フレデリック・カッセル〉 
サヴール・ドゥ・フリュイセック

小椋みかのテイスティングノート
〈フレデリック・カッセル〉
ミルフイユ・フィンガー

✤  ✤  ✤  ✤  ✤  ✤  ✤  ✤  ✤  ✤  ✤  ✤  ✤  ✤  ✤  ✤  ✤  ✤  ✤   

https://1.bp.blogspot.com/-lLjg7y0HJw0/V0PSB5ef1MI/AAAAAAAAMeM/yDkaUEEJn2MryY9a319mY-6IrNuewUpuACLcB/s1600/HOME%2Bbutton_1s.jpg