2024/02/22

カカオパルプビールが新登場!

 Using Cacao Fruit in Beer

Minimal The Specialty, 

Azabudai Hills

カカオパルプビールを味わう


チョコレートの原材料が植物だってご存知でしたか?

私は過去にカカオ農園をいくつか訪れたことがあります。カカオの木を植えたり、カカオ豆を発酵→乾燥→焙炒→練り潰す→成型という過程をたどり、チョコレートを完成させたり、また、カカオの木から実を収穫し、採れたての新鮮な実から種を取り出して、そのカカオの種のまわりをおおう “カカオパルプ” と呼ばれる果肉を圧搾して、カカオパルプジュースを取り出すという一連の作業を体験させていただいたりしたのです。

作業を終えてカカオパルプジュースを味わいました。やわらかな甘みと風味があって、爽やかな清涼感が口に残りました。その味わいに、いたく感動してしまって、以来、パルプジュールには敏感に反応してしまうのです。


そんな訳で「“カカオパルプ”を使ったビールの提供を始めた」というお知らせが、心の琴線に触れてしまいました。手がけたのは、日本発のスペシャルティチョコレート専門店 「Minimal - Bean to Bar Chocolate - (ミニマル)」。

早速、味わってみました。

ビールではあるけれど、口の中にカカオパルプのフルーティーな風味が広がり、やがてエールらしいおだやかな苦味が影絵のように現れた。喉越しも良く、細やかでやわらかな発砲具合で、カカオパルプジュースのファンには、たまらないおいしさです。


「何度も試作を重ねた結果、できあがった味わいです」と、Minimal代表の山下貴嗣さんは少し自慢気です。

それもそのはず、山下さんによれば、創業以来9年間、“カカオパルプ”を使った新たな味わいを試行錯誤してきたそうです。「カカオパルプビール」は、8年ほど前から「カカオ×ビール」のコラボレーションを続ける、東京・天王洲でクラフトビールをつくり続けるブルワリー「T.Y.HARBOR Brewery」と共同開発して完成したものだといいます。すでに数回にわたり「カカオ×ビール」が発表されてきたそうなので、読者の中にはご存知の方もいらっしゃることでしょう。

今回の味わいのポイントは“エール酵母(ビール醸造における上面発酵で用いられる酵母)”にあるのだとか。Hindawi が公開している学術研究論文によると、「カカオパルプは、ビールの発酵過程で酵母の代謝に必要な基本ミネラルを提供することで、より良い発酵状態にすることができる」のだそうです。

カカオと麦芽の素敵な発酵コラボレーションを堪能できました!

今後は「チョコレートの味わいを前面に出したビールにも挑戦したい」とのことなので、楽しみにしたいです。


text © Mika Ogura 2024


【プロフィール】

小椋三嘉(おぐら・みか)
エッセイスト、食文化研究家。
十数年のパリ暮らしを経て帰国。2008年にはフランス観光開発機構・ パリ観光会議局の名誉ある「プレス功労賞」を受賞。フランスのチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」の会員。著書は『高級ショコラのすべて』、『チョコレートのソムリエになる』、『ショコラが大好き!』、『アラン・デュカス進化するシェフの饗宴』、『パリを歩いて―ミカのパリ案内―』など多数。



※ 次のページでは、Minimal代表の山下貴嗣さんが、目の前で焙じてくれたオリジナルブレンドの野草茶と新作チョコレートをご紹介します。
「カカオパルプビール」が味わえるショップの informationも次のページでご確認いただけます。




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